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高松地方裁判所 昭和47年(わ)78号 判決

本籍

香川県高松市元山町九二一番地の一

住居

右同

砂利販売業

福井正雄

昭和五年九月一六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官難藤務出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役四月及び罰金一四〇万円に処する。

右罰金を完納しないときは金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

但し、本裁判確定の日から二年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、高松市元山町九二一番地の一において、福井組の商号で砂利販売業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て、

第一、昭和四三年分の所得金額が一、三五一万七、六三五円、これに対する所得税額が三九〇万九、二〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外し、これによつて得た資金を架空名義の預金にするなどの方法により、右所得金額中一、一五七万六、六五四円を秘匿したうえ、昭和四四年三月一五日、高松市楠上町二丁目一番四一号所在高松税務署において、同署長に対し、同年分の所得金額が一九四万〇九八一円、これに対する所得税額が二四万七五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により所得税三六六万一七〇〇円を免れ、

第二、昭和四五年分の所得金額が一、二七三万二、九六〇円に対する所得税額が四二九万一、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の方法により、右所得金額中五八一万五、三二八円を秘匿したうえ、昭和四五年三月一六日、前記高松税務署において、同署長に対し、同年分の所得金額が六九一万七、六三二円、これに対する所得税額が一八三万七、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により所得税二四五万三、八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述書

一、大蔵事務官作成の被告人に対する質問顛末書(二三通)

一、山口廣巳作成にかかる福井正雄の上申書(六通)

一、高松税務署長作成の証明書(五通)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(二通)

一、大蔵事務官作成の勘定科目明細書

一、大蔵事務官作成の貸借対照表及び損益計算書

一、大蔵事務官作成の福井ヨシ子、森憲三、飯間幸子(二通)、飯間利行(二通)、漆谷旭、野口一男(二通)、入谷義照(二通)、蓮井信義(二通)、三村フサ子(三通)、菊地元治、上野千枝子、万代市次、東敬一、稲井義数、佐竹昭三(三通)、三宅秀雄、藤岡日世士、明野神義、平福繁雄(二通)、谷居栄三男、溝淵久、長町正高(二通)藤堂晴男(二通)、合田一、石見悦朗、山地茂太郎、宮崎沢一、村川幸造、川西貞雄、田村義輝、大社努、小野坂喬、六車稔、山口廣巳に対する各質問顛末書

一、溝淵久、川田専吉、氏家繁、高木直諒、小野坂喬、入谷義照、森義孝、綱谷尚作成の各上申書

一、鈴木文二、木村義雄、十川義晴(二通)、高橋正信、後藤正治、三原勉作成の各証明書

一、泉谷義博作成の車両売掛台帳写

一、国東照太作成の売掛元帳等写

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、所得税法第二三八条第一項、同法第一二〇条第一項第三号に各該当するところ、いずれも懲役刑と罰金刑を併科することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法第四七条本文、第一〇条により犯情最も重いと認められる判示第一の罪の刑に法定の加重をなし、罰金刑については同法第四八条第二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期および金額の範囲内において被告人を懲役四月および罰金一四〇万円に処し、被告人において右罰金を完納することのできないときは刑法第一八条により金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、なお情状により同法第二五条第一項を適用して、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 山本茂)

右は謄本である。

昭和四七年七月一一日

高松地方裁判所

裁判所書記官 浦辺正信

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